身代わり姫君の異世界恋綺譚
「お前の言うとおり殺してはいない」

殺してはいないが罰は与えなければならない。

それは父親の天皇に任せることにした。

あの賢王と呼ばれる男の息子とは思えない愚息だったな。

天皇が効果のある罰を与えてくれることを望もう。

「……紫鬼。助けに来てくれてありがとう」

いつも危ない時に助けに来てくれる紫鬼は真白のヒーローとも言える。

ヒーローと言っても紫鬼には何の言葉かわからないだろうが。

「お前は意識がなかったようだな」

――意識があり自分の名前を呼べばすぐ行けたものを……。

「……うん。庭で殴られて気づいたらあそこにいて……」

気持ち悪いキスを思い出し、真白はゾクッと肩を震わせた。

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