身代わり姫君の異世界恋綺譚
「桔梗さん、紫鬼は――」

「紫鬼様?」

桔梗は真白の視線を追った。

陰陽師の1人と話をしている紫鬼が真白の視線の先にいた。

「相変わらず存在こそが神々しいお方ですわ」

――神々しい……? たしかに人とは違うオーラがある気がする。もちろん、持っている能力は想像以上のものだけど。

「女房たちも紫鬼様のお姿を見られるだけで幸せなのです」

真白が来るまでは滅多に姿を現さなかった。

陰陽寮に部屋はあるが、そこで寝泊りをしているのかは定かではなかった。

ただ、一つだけ例外はあった。

陰陽寮の女房たちには手をつけなかったが、紫鬼は姿を変えて姫たちの部屋を訪れていたらしいと聞いていた。

そんなことは口が避けても真白には言えないが。

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