身代わり姫君の異世界恋綺譚
そこへ清雅がやって来て、布団の血を見ると腰を抜かすほど驚いた。

「ま、真白っ!」

紫鬼に抱かれている真白に清雅は駆け寄る。

「紫鬼! 真白は大丈夫なのかっ!?」

布を真白の口にもって行き、血を拭う。

「せ……いが……」

「な、なんじゃ? 真白っ!?」

真白の声を聞き漏らすまいと耳を近づける。

「わた……しを……ころして」

清雅の手にしていた布がはらりと布団の上に落ちた。

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