身代わり姫君の異世界恋綺譚
「あ、姉上っ!」

清蘭は起き上がると、口の中の血に嫌な顔をした。

『わらわのことをまだ姉上と呼んでくれるのじゃな? 真白の身体はもうぼろぼろじゃ。わらわの物になるのも近い』

愉快そうに口元を歪める清蘭。

「と、突然だったから呼んでしもうたのじゃ!」

清雅は不愉快そうに清蘭を睨みつける。

紫鬼は真白から清蘭に姿が変わった瞬間、この部屋から去っていた。

清雅も立ち上がると、顔についた血を拭いている清蘭を残し部屋を出て行った。

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