身代わり姫君の異世界恋綺譚
「わしが現れて驚いているな? 紫鬼よ」

2人の周りだけが異空間。

近くに誰かが通っても2人に気づく者はいないだろう。

「ここへ寄越してからお前は善行を行った」

「聖天様のおかげです」

「しかし、紫鬼よ。わかっておるな。このままでは都は物の怪に壊滅させられる。真白を殺すのだ。わしが授けた力を使うのじゃ。静蘭を消滅せよ」

長い髭に手をやり撫でながら人の良さそうな笑みを浮かべているこの老人からまさかこのような言葉が出るとは思わず、紫鬼は息をのんだ。

「聖天様!」

紫鬼は鋭い視線を向けた。

「真白は異世界の者。ここで生きていてはならぬのだ」

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