身代わり姫君の異世界恋綺譚
――この人たちは悪い人たちじゃない。それどころか、わけのわからないことを言う私に優しくしてくれる。

真白は感謝しながら、清雅の父に微笑んだ。

「なんと……愛らしい……どうだ、私の妾にならぬか?」

子の前で堂々と真白を口説く清雅の父。

「へっ……? 妾?」

「父上っ! 真白は紫鬼が気に入った娘です」

清雅が慌てて言う。

「なにっ? 紫鬼殿がか? 認めただけでなく気に入っているとな?」

驚いた顔になった清雅の父。

「はい」

「ならば妾には出来ぬな」

そう言って高笑いをしたのだった。

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