身代わり姫君の異世界恋綺譚
また少し行くと、再び女の人が向こうからしずしずと歩いてくるのが見えた。

――あの人に聞こうっ!

早くお膳を返して、穴を見つけに行きたい。

「あの、すみませんっ」

突然、声をかけられて先ほどの女性たちと同じように目を見開かれる。

しかも、今度は物凄い悲鳴を上げられてしまう。

「きゃーーーーーーーーーーっ!」

そして腰を抜かしそうになりながら、走って行ってしまった。

「ちょ、ちょっと待って!」

「真白様、どうかされましたか?」

お膳を持ったまま、ぽつんと佇んでいる真白に声をかけたのは桔梗だった。

「あ……桔梗さん……」

桔梗の顔が見れてホッとした。

< 47 / 351 >

この作品をシェア

pagetop