身代わり姫君の異世界恋綺譚
ふと清雅が視線を動かした。

――真白っ! また出歩いておるのか!紫鬼が大人しく部屋にいるよう言ったはずなのだが。

真白の明るい茶色の瞳と目が合い、清雅は苦々しげな顔になった。



――清雅、怒っているみたい。

正門の前には、真白が初めて見る牛車。

――うわっ! 牛がいる。ここの人たちはあれで移動するんだ……。

真白に気づいているのは、清雅だけ。

真白はその場を動かずに、女性が牛車に入る様を見ていた。

――ちょっと乗りたいかも。

外に出てみたいと言う気持ちが芽生えた真白だった。

牛車が去ってしまうと、清雅が真白の方へ駆け寄ってきた。

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