その男、小悪魔につき。【停滞中】



うそ、何これ……夢……?



「では私から自己紹介します。金谷みずほです。最初は慣れないことばかりでご迷惑お掛け致しますが、よろしくお願いします。」


ストレートで綺麗な黒髪が頭を下げて揺れ、男性社員からは溜め息のようなものが聞こえる。


でも私はそれどころではなく、拍手をしながらも隣に立つ人から目が離せないでいた。


明らかに女子社員の視線を集めるその人は、一歩前へ出て笑顔で挨拶をした。



「櫻井千尋です。今日からよろしくお願いします。」



簡単な挨拶だったのに女子社員からは軽く悲鳴が聞こえる程だった。



こ、これは私の想像以上にモテている…!



こんなんで仮にでも彼氏だなんてバレたら……



「ひぃっ……」


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