我等オカ研特捜部
 ~荒木の場合~
 
 今までオカルトなんて全く信じていなかったし興味もなかった。

 ずっとゲームばかりやっていたし学校なんてつまらないと思っていた。

 友達だって要らないとさえ思っていた。

 高校に入っても変わらずゲームばかりやっていた。

 そんな俺に先に話しかけてきたのは隊長だった。

 その時俺はいつも昼休みは1人でパンをかじりながらゲームをやっていた。

 チープな世界で時間を潰していると隣の席のいつも本ばかり読んでいる隊長が話しかけてきた。

谷口
「その妖怪はそんなフレンドリーな奴じゃないさ」

荒木
「あっそう」

谷口
「その妖怪は創作された妖怪だね」

荒木
「うるさいなー」

谷口
「なあ、実際一緒に幽霊探しにいこうや」

荒木
「いねーよそんなの」

谷口
「びびってんじゃねーの?」

 くだらないだけだと言ったが実家が神社って話が面白く放課後彼に付き合いだし始めると自分よりも変わっている隊長に安心感を覚えた。

 授業の移動や秘密基地作りなど、次第に一緒にいるうちにどんどん仲良くなっていた。

 俺達二人は学園生活からは浮いていたであろう。

 異端児は例外なく社会から弾かれる。

 支配者気取りのグループが本格的に俺達をいじりだした。

同級生
「最近面白そーだな?

 おホモだちが出来たからか?」

荒木
「うるせーよ」

谷口
「ホモじゃないけど」

同級生
「なんでタメ口なんだよ?

 荒木お前、前から口悪いぞ?」

荒木
「迷惑かけてねーだろーが」

同級生
「目障りなんだよ!」
 
 その時、隊長は不良グループに取り囲まれそうになると1人走って逃げた。

 俺は所詮友達なんてこんなもんだろうと思い、どうせ殴られるなら抵抗してやろうと身構えた。

同級生
「なんだよ?

 見捨てられちまったな?」

 不良グループが俺を取り囲み襲い掛かろうとした時だった。

「おーい」
 
 皆が上を見上げると隊長がビデオカメラ片手に校舎の窓から声をかけた。

同級生
「ふざけんな降りてこい!

 ぶっころすぞ」

 それからは隊長は校則や刑法等を読み上げ、暴力を振るうと如何に今後の高校生活が不利になるかを話したんだ。

同級生
「知るかボケ!」

同級生
「そのビデオでチクれなくなる程の映像を取ってやるぜ、捕まえろ!」

 その時隊長の横から今の文化研究部の顧問である岡田先生が顔を出した。

同級生
「ちっ覚えてろよ」
 
 奴等は悔しそうにその場を去って行った。

 俺は階段を駆け上がり隊長のいる部屋に入ると黒のカーテンが掛けられた視聴覚室に入った。

荒木
「谷口!」

谷口
「上に視聴覚室があったの思い出してさ、実はビデオは使い方が解らなくて撮れなかったけど鍵を壊す音で岡田先生来たからついてたよ、ラッキー」

 隊長は逃げた訳でなかった。
 
 それどころか巻き込まれてでも俺を助ける為に機転を効かしてくれたようだった。

荒木
「見直したよ」

谷口
「これからは隊長と呼べ」
 
 岡田先生は無表情な顔をして俺達二人を見つめていた。

 俺はそこから谷口を隊長と呼ぶ事にしたんだ。
  
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