愛しい人
予定日まであと3日に迫った、5月15日。

今日も無事に1日が過ぎた。

「なんだか遅れそう…」

2人で晩ご飯を食べながら私が呟いた。

「…出てくるなら、オレのいる時にしてくれよ」

「そんなの、決められないよ」

「オマエに言ってない」

久馬くんは、私のお腹に話しかけていたようだ。

「あっ…今、蹴られた」

「狭いなら、早く出てこいよ」

「お~い!早く出ておいで!」

私も、お腹をさすりながら赤ちゃんに言った。

その夜も、一緒にお風呂に入った。

「このおっきなお腹と一緒にお風呂に入れるのもあと少しだねぇ」

お腹を触ると、ドンドンと蹴り返される。

「当分はお腹ポッコリしてるだろ?」

「それって…産後太りってこと?」

「プニッて音がする」

久馬くんは、少し丸くなった私の頬を軽くつまんだ。

「もうっ!」

パシャパシャと水をかけあった。その間、赤ちゃんも一緒に遊んでいるかのように、お腹の中ではしゃいでいた。

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