エトワール~君が描く夜空~
*Chapter1
「あんたなんか、とっとと死ねばいいのよ!」

「本当に、どうしてお前はコイツを産んだんだ」



――嗚呼。

もう、消えてしまいたい。

この世から私と言う存在を、全て消してしまいたい。

もう何年も前から浴びせられる罵声に、心は悲鳴をあげなくなった。

涙だって枯れ果てて一粒たりとも出やしない。

私はただぼーっと、私をこの世に生みだした張本人である彼らを見つめていた。

醜いようなものでも見るような目。

この人たちは、いつからこんな目で私を見るようになったっけ。

昔は、ごく普通の両親であったはずなのに。

幸せだった過去に思いをはせ、私はゆっくりと瞼を閉じる。

……遠い昔。家族三人で始めて遠くに行った時。

のどかな公園の大きな木の下に、レジャーシートの上に座ったまだ幼い私と、今より幾分か若い両親が座っている。

お母さんの手作りのお弁当に喜んで、はしゃぐ私。

そんな私を、優しげに目を細めて笑う――両親。

そこまで思いだして、私は頭を振った。

もう、やめよう。過去の優しさに縋るなんて、すごく惨めだ。

あの優しさはもう帰って来ない。

現に、もう何年もあの笑顔は帰ってきていない。

ぼんやりと、未だ罵声をあげる両親を見上げる。

以前はあの目を見るたびに涙を流して謝っていたけれど、今ではもう何も感じない。
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