「お隣さんで幼馴染は恋の対象になりえますか?」
私…好き
Q:今でもまだ好きな元彼、最近よく声を掛けられます。遊びに行こうと誘われました。どうしますか?

「…頷いちゃった…」

統一郎とすごく久しぶりに帰った。思わず雑貨屋さんに目を向けたら、行ってこいってすごくそれが優しくて…。
待たせちゃいけないと思って急いで出て行っても、【慌てる事ねぇだろ…もういいのか?】なんて。あの頃と変わらない統一郎…【いつもの事だろ】って返してくれるのだって変わってない。
さりげなく手を握ってくれるのも、ゆっくり歩いてくれるのも、何も喋らず歩いてても…統一郎とだと自然で心地イイ。大事にしてくれるのがわかるから、私は統一郎がしてくれるままだった。そうすると統一郎は甘やかすみたいに、頭を撫でてくれたりおでこにキスしてくれたりした。
優しい統一郎、カッコイイ統一郎、たまにお兄ちゃんぶる統一郎…全部好き…。


「なぁ…明日、買い物付き合えよ。十時に行くから空けとけよ」

びっくりして、言葉にならなくて統一郎をただ見上げてた。

「な?」

優しく言われて思わず頷いちゃった…。
ここ最近、統一郎は学校でも声を掛けて来たり、何かと助けてくれたりしてて…。

私が好きなブルーベリーのガム…いくつかのメーカーから同じブルーベリー味は出てるけど、コレじゃなきゃダメってところのガムをくれた。

【余ったからやるよ】

統一郎…まだ覚えててくれるの?

【こんなところですっ転ぶんじゃねぇよ】

何もないところで躓いても、笑わずに大丈夫か?ってすぐに助けてくれる。


【貸して見ろ】

日直の日の放課後、日誌を提出しに行った時に先生に頼まれた返却するノートの山…。部活に入ってるわけでもない統一郎が、部員ばっかりしか残ってない時間にまだ校内にいて、代わりにノートの山を持ってくれた。

【一人で帰るなら送ってやる】

帰ろうとした私にそう言って、返事も待たずに腕を取って歩かれた。




統一郎は翌朝、黒いパンツにシャツとジャケット姿で迎えに来た。私は半袖の白いワンピースに…昨日もらった口紅をして待ってた。

「行くぞ」
「ぁ、うん」
「…ほのか」
「え?」
「よく似合ってる」
「っ///」

そんな事言われたの久しぶりで…しかも統一郎から言われて恥ずかしくて嬉しくて…。

「朝飯は?」
「一応食べたけど…」
「じゃあフェイバリットにでも行くか」
「うん」

有名カフェチェーン店の【フェイバリット】は統一郎とよく行った場所。

「先に座ってろ」
「うん」

これも統一郎がよくしてくれた。先に座ってると、買ってきてくれるのはいつも生クリームをたっぷりとバニラアイスをトッピングしたココア。

「ほら」
「ありがと」

統一郎はいつもホットのモカ。ちょっとクールな外見に似合わず意外と甘いものは好きだから。

「見たいモンあるか?」
「ん、と…」

統一郎は買い物に付き合えって言ったくせに、私を最優先してくれる…優しく訊いてきて、私の希望は叶えようとしてくれる。
けど…今はもう私の統一郎じゃない。日替わりで女の子を連れて歩いて、校内でキスしたりもしてるらしい…そうやって優しくされた子が何人いるんだろ…?

「…ほのか?どうかしたか?」
「何でもない…」
「嘘付いたって無駄だ…お前のはすぐわかるからな」
「…気のせいだよ」
「んなわけあるか。俺は…お前の事ならすぐ気付いてやれる自信があんだよ」

そんな風に言うのズルい…あんな別れ方したはずなのに、私を無視し続けたくせに、ヒドい事言ったくせにっ…。

「ほのか…これから夕方までめいっぱい買い物したら……帰る前に話がある」
「ぁ…」
「絶対お前に…訊いて欲しい」

そんな真剣な顔しないで…妹みたいな幼馴染なんて言われたら、もうホントに立ち直れないから…。

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