天然王子様に振り回されて
甘い雰囲気になっていると――




「・・・・うぇぇぇっ・・・」




―――あぁ、またもや不吉な声が。






不吉な声が聞こえたと共に、俺は羽依を離した。



羽依は素早くお母さんの元へ。





「お母さん!お願いだから我慢してよっ!」


「無理無理。

・・・というか、暢気に抱き合ってんじゃないわよ。」


「迷惑かけてんのに、そんなこと言ってんじゃない!」



そうスッパリと言った後。

羽依は俺の方を見た。



すまなそうに、眉が八の字になっている。




「三木先輩、お母さん、トイレに運んどいてもらえます?」


「うん。というか、そのつもりだったし。」


俺はニッコリ笑って、

お母さんを立ち上がらせ、肩を貸した。



「行きますよぉー」


「おー」



2人で言い合う。



羽依からトイレの場所を聞き、

俺はお母さんとトイレに向かった。



















――なんとかトイレに着いた。


お母さんをそっと座らせる。




「ありがと、千秋君。」


羽依のお母さんは悪びれもせずに、

ニコッと笑った。






< 60 / 152 >

この作品をシェア

pagetop