生徒会の恋愛事情


「…なら、共に行きましょうか。」


弥先輩はこちらを真っ直ぐに見つめる。


「…ですから、私は…」


「屋敷でも道の先でもありません。
共にいましょう、永久に。」


弥先輩はあたしの頬を両手で挟んだ。


「え…」


驚きが小さく漏れる。


こんなシーン、台本にはなかった。


弥先輩の端整な顔が近づいてくる。


唇がつくかつかないかの瀬戸際で、弥先輩の顔は止まった。


多分、観客席からは…キスしてるように見えているんだと…思う。


呆気にとられたあたしを目覚めさせてくれたのは、舞台袖からスケッチブックを見開きにして、大きな字で指示を出してくれた香里奈先輩だった。


そのまま死んだフリ!


あたしはそれを見て、自分なりに死ぬような感じで身体を傾けた。


でもその時に…


弥先輩の唇が、少しだけあたしの口にかする。



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