生徒会の恋愛事情


弥先輩はあたしわ黙って抱きかかえ、歩き出した。


文化祭だから人通りも多くて、しかも美少年が女子をお姫様抱っこしているから、かなり目立つ。


前を歩く先生についていく形で歩く弥先輩は、無表情だった。


そんな顔を見ていると妙に不安になっちゃって、話しかけることも出来ない。


でも…やっぱりドキドキしている自分もいる。


なんだが、また自分がよく分からない。


あたしは…自分って何なんだろう。


何を考えなくちゃいけなくて、何を諦めたらいけなくて、何を望んだらいいのか…


そんな事を考えているうちに、保健室に運ばれる。


あたしはベッドに寝かされて、弥先輩にお礼を言った。


「そんなの当然だよ。
それより、また痛い思いをさせてごめん。」


その後、お互い何も話さなかった。


でも、弥先輩があたしの目を見て言ったんだ。


「あのさ…沙羅ちゃんが治ったら、今度ゆっくり話さない?」


「え?」


「色々話さなきゃいけないから。」


「はい…分かりました。」


あたしが返事すると、弥先輩はお大事にと言って、行ってしまった。


…話さなきゃいけない事?何?


何も分からない…いや、何も考えられないままあたしはまた眠りについた。



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