生徒会の恋愛事情



「華羅お姉ちゃんは何も気にせず、楽しんできて。
あ、お土産はよろしくね。」


「分かった。
あとのことはよろしくね。」


「うん!
いってらっしゃい!!」


華羅お姉ちゃんを見送ったその日から、生徒会室は少し広くなった。


聖也先輩と、小百合先輩と、光唆とあたし…二年生抜きで何かするのって初めてで、なんか新鮮だった。


でも…やっぱりちょっと寂しいな。


勇也先輩がいないと、妙に静かで


香里奈先輩がいないと、自分達が高校生であることを忘れてしまいそうで


華羅お姉ちゃんがいないと、目標を見失ってしまう感じで


弥先輩がいないと…



「沙羅?
大丈夫か?」


「え?」


「何かぼーっとしてるぞ。
体調悪いのか?」


「そんなの全然。
ちょっと考え事してただけ。」


やめよう、こんな事考えるの。


…皆で何かやってる時に考える事じゃない。


あたしは首を振って忘れようとする。


それでもあたしは、いつも真剣に生徒会と向き合っている弥先輩の席を見てしまう。


その席が今日は空いている事がとても不思議で、そして…とても寂しく思えたんだ。



< 269 / 385 >

この作品をシェア

pagetop