生徒会の恋愛事情
今までなかった生徒会を、これからあたし達がやっていく事を。
「沙羅さんって本当に前向きですのね!」
絵恋さんの言葉に、空気が柔らかくなる。
「お二人なら大丈夫ですよ。
少なくとも、私は来年から華羅さんや沙羅さんと一緒に生徒会できると考えたら、凄く嬉しいですもの。」
「ありがとう!」
素直な言葉が心地良く、自信に繋がる。
「沙羅、連絡はあたしからするよ。
日曜日とかなら大丈夫だよね。」
「華羅お姉ちゃん、宜しく!」
頑張らなきゃ、少なくとも馬鹿にされないようにしっかりやろうと意気込む。
「そんな気負わなくても、沙羅ちゃんなら大丈夫だよ。」
弥先輩があたしの手首を掴んで引き寄せ、左手を頭の上に乗せる。
「しっかりした事言おうとか考えなくても、何か聞かれたら沙羅ちゃんが思うように答えたらいいから。」
「弥先輩…」
あたしの考えがお見通しなのか、弥先輩はそう言って私の中の緊張をほぐす。
それは先程の絵恋さんとはまた違った意味で心地良かった。
「あーあ。
何か邪魔みたいだから帰ろう。」
「そうですわね。」
「すまないな、弥。
話に夢中で気付かなかった。」
三人はそう言うと、背中を向けて歩き出した。