生徒会の恋愛事情


着ていくものは制服だ。


服を貸そうか香里奈先輩が言ってくれたが、あたしもお姉ちゃんもお断りした。


香里奈先輩が貸してくれるものだから、小金井さんのお家に行くに相応しい、上品で綺麗な、それでいてあたし達に似合う服を貸してくれたと思う。


でもそれを着たあたし達は、等身大のあたし達じゃないと思う。


小金井さんからしたら、あたし達はそんな服を普通に着れる人間じゃないから、貸衣装なのバレバレだと思うし、多分そんな事したら最初からなめられるだろう。


だったらどうするか…そう考えた時に、あたしも華羅お姉ちゃんも、毎日着ている制服を選んだ。


あたしが1年間、華羅お姉ちゃんが2年間頑張ったことを最もよくわかってくれている服だから。


それに、学生にとって制服は正装だしね。


こうして選んだ服に袖を通して、あたし達は家を出た。


車で来てくれるそうだから、寒いけどちゃんと外で待っておこうと華羅お姉ちゃんと決めたのだ。


1月の朝、幸いにも風はあまり吹いていなかったが、足下が体温が奪われていくのが分かる。


カイロをぎゅっと握りしめながら、15分程待っただろうか。


地域に不相応な黒く長い車が見え、あたし達の前に止まった。


止まって数秒後にドアが開かれて、小金井さんが車から出てくる。


「おはよう。
寒い中お待たせして申し訳ない。
さあ、中へどうぞ。」


淡々とした口調に促されるまま、あたし達は車に乗り込んだ。


初めて乗るわけじゃないからもうこの車自体には驚かないけど、普段と違う雰囲気には少し緊張してしまう。


あたしはカイロを鞄にしまうと、自分の手をぎゅっと握った。



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