君との奇跡
ー透也ー

冬の寒さに手がかじかむ。

僕はそんな手に温かい息をはく。

(…今日…寒い…)

ふと空を見上げると白く冷たいものが頬に落ちてきた。

「…雪…」

(…今日…雪が降るなんて言ってなかったのに…)

天気予報って外れるものなのだな。

と肩を落とした。

(…でも…マフラーがあるだけいい…)

そんな事を考えていると横からくしゃみが聞こえた。

「クシュン!」

見ると女の子が肩を震わせていた。

(…寒そう…)

少し迷ったけれど、自分のマフラーをはずし女の子に渡した。

「えっ…?」

「…寒いなら…使えばいい…」

僕がそういうと、女の子は嬉しそうに目を細めた。

「ありがとう。…でも、良いのですか?」

「ん…。」

「ありがとう。…では私はこれを…」

と出したのは可愛らしいカイロだった。

「…君こそ…いいの?」

「はい、もちろん…。」

僕は女の子からカイロを受け取った。

「…ありがと。」

「こちらこそ…」

「それじゃ…」

「はい、それじゃあ。」

と僕は右、彼女は左に歩いて行った。

僕はもうあの女の子と会う事も話す事も無いと思っていた。

でも、僕達はまた出会う。

運命の出会いをー・・・
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