ただ、名前を呼んで
「いや!いや!いや!いやぁ!」
耳を塞ぎたくなるほどの、僕に対する拒絶の言葉。
堪らなくなってその場に崩れる。
内藤さんが僕の腕を持ち上げて強引に立たせ、部屋の外へと連れ出す。
奥さんの方は、怯える母を必死になだめている。
部屋から廊下に出た後、内藤さんは大きくため息をついた。
「君は、なんていうか、気持ちが高ぶると抑えられないようだね。」
本当にその通りだ。
いつだって落ち着いていたいのに、うまくいかない。