ただ、名前を呼んで

怪我を怖がるのなら、「大丈夫、大丈夫」ってなだめられたかもしれない。

だけど僕自身を怖がられたら、僕はどうすれば良い?

そんなの、“会わない”以外に思い付かない。



それから数日後の夜、内藤さんから電話があった。

あれから顔を見せなくなった僕の様子を気にしてくれたのと、もう一つ。

やはり母を別の施設に移したいということだった。

以前に内藤さんが心配していた通り、僕が居ることで母が傷付くことになってしまうから……。
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