無愛想な彼に胸キュン中
「はぁ……はぁっ……」
どれくらい走ったかな。
……ううん、実際には全然走ってなんかないんだけど。
泣いてるせいで、息が苦しくて、胸が痛くて。
もうぐちゃぐちゃだった。
こんなんじゃ椎木くんに会えないよ……。
「三枝!」
砂浜に目を落としていたあたしは、
ドキッとして振り返った。
……あ。
「しい、き、くん……」
「いないから捜したよ。どうかした?」
優しい笑顔であたしを見る。
椎木くんの温かさを感じて。