ニセ×カレ
「う、腕つかまなくたって……。ちゃんと歩けるっつーのっ……。」

「何? なんか言った?」


りょ、涼太ってもてるから、女子からの視線が怖いんだよっ!


…とは言えず。


「…ひ、独り言。」

「あ、そう。」


正直慣れちゃった。

こういう応答。


涼太、クールだし鈍感だから女の心が分かんないんだよ!

どう考えても涼太のことが好きだろうなぁって言う子がいても、

全く気付いてないし、興味無さそうだし…。


そこだけ直せばいいやつなんだけどなぁ…。

そうしたら、私の心も恋愛感情に変わっちゃ―――


――バンッ!!


廊下に大きな音が鳴り響いた。

正直とっても驚いたけど、本当に驚いたのは『音』じゃない。


その『音』を鳴らした張本人を見てからだった。


私の手を握る涼太の前に立っていたのは……。
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