ニセ×カレ
「……勝手にしろよ。」


そう一言呟くと、涼太はその場を立ち去って行った。

すっごく…すっごく寂しそうな顔だった。


「行こ、美々果。」

「え、あ…。」


もう、言葉になっていないセリフをつぶやきながら藍沢和希に引っ張られて歩き始めた。

あぁ、何してるんだろう私。

ただ、涼太と掲示板に行こうとしてただけだったよね…。

ただ、昨日たまたまぶつかっちゃっただけだよね…。


なんでこんなことになってんの……?


私何にもしてないじゃない……。


そんなことばかり考えながら歩いていると、体育館裏に着いた。

ここはずっといると寒いくらい涼しいから、誰も近寄ってこない。


誰も来なくて都合がよかったんだね、きっと。


「ふぅ、ここまで来れば誰もいないだろ。」

「…ここで何すんの? またキスでもすんの?」

「え、してほしいの?」

「そんなわけないでしょ!?」


呆れが怒りに変わって、私は声を張り上げた。

気付くと、つないでいた手まで払っていた。


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