ニセ×カレ
俺の親父はヨーロッパでサッカーチームのコーチをしている。

母親もそっち関係の仕事で、日本とヨーロッパを行ったり来たり。

サッカーはそんな両親の影響もあって始めた。


でも、入学式の日に試合があっていけないとか。

母親も、ヨーロッパにいる。

仕方なく俺はたった1人学校へ向かっていた。


息子の入学式くらい、来いよ。

ひでぇー親達。


そうブツブツ唱えながら学校へ行くため、バスに乗った。

しかし俺もバカだった。

そのバスが学校と反対方向に走っているのに気付いたのは、全く知らないバス停の名前が出てきた時だった。


「やっべぇ…。」

そう思って、ひとまずバスから跳び降りた。


跳び下りたバス停に1人の女子がいて、こっちを見つめていた。

なかなか可愛いと思ってしまった。


人生初、一目ぼれ的な感じか?


「あ、おはようございます、あなたも南中の方ですか?」

「そう、だけど。」

「私も今から入学式行くんです。でも、母も友達も幼なじみもどっか行っちゃって…。
心細かったんです。」

「はぁ…。」

「あなたも迷子ですか?」

「まい…」


迷子なんて口が裂けても言えねー…!

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