12 love storys
その人はただ立っていた。


いや、


ただって事はないか。


傘らしきものは差していた。


らしき、と言うのも


透明のビニール製のそれは


真っ白な景色に溶け込んで


その存在感を潜めていた。


そして、


その中心にいるその人は


じっと


じっと


立っていた。


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