Secretな関係




割と近くに高校があるので自転車通学な裕也。


「…重いよねー?」


そう聞くと、


「超重いー」


とだけ返された。



なんだか、待たせた上に自転車漕いでもらっちゃって申し訳ないな…今度お礼に何かしようかな。



そろそろ、学校も近づいてきたという時に、携帯が鳴った。


「あ、私だ!」


「どうする?」


「えっと…」


電話なんだけど…今出るのは危ないよね…


「もうすぐで駐輪場だから」


「じゃあ、後にする!」


そう言うと、ほんの少しスピードを上げてくれる。


やっと、学校につき、ごめんね?と一言おいてから、携帯を開く。


「…誰から?」


「友達…だけど、どうしたんだろ?」


すると、また電話がかかってきた。


出るね?と言い、電話に出ながら歩きだす私たち。


「もしもし?」


「もしもし!ゆあちゃん今日休み?」


「えっ?今着いたよー」


「もう!遅いよー!SHR終わっちゃったよ?」


「うそ!」


「時計をみてくださいー」


「わわ!もうとっくに過ぎてるじゃん!」


そう言いながら裕也を見ると、知ってたよという顔で頷いた。


「あ!そうだ!あのね、吉岡先生が今職員室のほうに行ったからね!」


吉岡先生とは、私たちの担任で、常に怒ったような顔で厳つい数学教師だ。


「えー!吉岡とか!見つかったらやば……」



「おい」


後ろからドスの効いた低い声が響く。


う、後ろ向けない…


「おい」


もう一度呼ばれる。


この声は、間違いなくあいつだ。

吉岡だ!


やばい!隣を見ると既に裕也はいない。


一言だけ言ってくれれば良かったのに!



何はともあれ逃げるのみ!


全力で廊下を突っ切り、階段を駆け上がる。ようやく、教室に入ったと思ったとき、鞄をぐいっと掴まれる。


「ひゃっ」


「後で、数学準備室にこい」


ああ…後ろを振り向かずとも分かります。


「は…はい…」


今日は一段と怒ってらっしゃるよ…


怒られる理由が沢山思い浮かぶ…

まず、吉岡と呼び捨てにしたこと。

校内で携帯を使用したこと。

遅刻したこと。


もしかしたら、2ケツも見られたかも…



今日は本当についてない!

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