最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

うーん、この状況は喜ぶべきか憂うべきか、悩むなあ。

莉那先輩は俺に好意を持ってくれてると思う。俺としては、それはもちろん喜ぶべき事だ。しかし、アフターファイブに俺と二人で連れ立つところを、会社の連中に隠そうとしない件はどう解釈すべきなのか……


良い方、というか俺にとって都合良く解釈すれば、莉那先輩は俺との関係を人に隠す考えはなく、俺と堂々と付き合おうという考えかもしれない。

それは喜ばしい事かもしれないが、逆に考えれば、俺との関係は取るに足らないもの、単なる同じ部の先輩と後輩に過ぎない、と莉那先輩は考えていると取れるわけで、もっと言えば、莉那先輩は俺を男として見ていない。少なくても、俺を恋愛対象にはしていない、という事になるのではないか。

うーん、やっぱり俺としては憂うべきなのかも……


「ねえ、どうしたの?」

「はい?」

「だから、川田君は何食べたいの?」

「あ、そうでしたね。そうですね。えっと……」


“莉那先輩を食べたいです”、なんてね。言ってみてえ!

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