最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

「事情って何ですか? 教えてください」


俺は当然ながらその言葉に食いついた。莉那先輩は知ってるっぽい恭子さんの事情とやらを、ぜひ俺も知りたい。今すぐに。


「それは言えないわ。あの子から固く口止めされてるから」

「そんなあ。お願いしますよ……」

「言わなくてもあなたは気付いてるんじゃないの? 一ヶ月以上もあの子と付き合ってるんだから……」


と言われてもなあ。

確かに恭子さんには不思議なところがある。例えば、階段が大の苦手とか、口紅を絶えず濃く塗っているとか、胸を決して見せてくれない、とか。


そういった事が“事情”に繋がるのだろうか。うーん、解らん。解らないよ……

ん? ああ、そうか! そうだった。肝心な事を忘れていた。俺は無意識に忘れようとしてたのかもしれない。“深層心理”ってやつで。


「もしかして、中嶋さんの事ですか?」

「えっ? あなた、どうしてそれを……」


莉那先輩は目を大きく見開いた。莉那先輩、わかりやすい反応、ありがとうございます。


やっぱりそれか。それだったのかあ……

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