ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐

それ以来、青乃臣がニンニク恐怖症になったの は、言うまでもない。

彼は、わずかなニンニクすら受け付けない体に なってしまった。

普通、ニンニクを苦手とするのはヴァンパイア のはずなのに、人間の青乃臣がそうなってしま うなんて、未来も苦笑するしかなかった。


適量なニンニク摂取をして、その効果が持続す るのは2日間だと言われているが、今回の青乃臣に限ってそれは全く当てはまらなかった。

これは体験した者にしか分からないが、ニンニ クを一度に大量摂取すると、常に体温の高い状 態が続き、一週間ほど吐く息がニンニク臭に染 められるのである。

自分自身のにおいに苦しむ日々は、精神的にも つらい。



翌日の朝。

昨日とはうって変わって、気持ちの良い晴天と なった。

臨時的体質変化によりエルクは眠りに誘われ、 一方、青乃臣は普段通り家事にいそしんでいた 。

幸か不幸か、ニンニクパワーが青乃臣の体力を 回復させたのである。

自然オーラ不適合のせいで、魔術師としての能 力は落ちた気がするし、自分自身から発せられ るニンニク臭に気持ちが悪くなったりもしたが 、寝込みっぱなしの状態よりは幾分マシだと、 青乃臣は前向きに考えることにした。

朝に弱い低血圧の未来も、エルク同様、自室で 眠っている。
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