とけていく…
「真紀…」

 涼が駆けつけると、いつもよりも大人っぽい服を身に着けた彼女が彼に気付いた。涼は思わずドキッとした。

「涼…」

 真紀は、いつになく真剣で緊張した面持ちだった。

「えっと…、あのさ…」

 今にも泣き出しそうな真紀の声に、彼は黙って見つめていた。

「…目の前にいるのは誰?」

 自分を指さしながら、彼女はゆっくりと口を開く。涼はその瞬間、目の前の彼女が愛おしくて、彼女を抱き寄せていた。

 壊れるぐらいに、彼は真紀の細い身体を抱きしめていたのだ。彼女の瞳は、涙でキラキラと揺れていた。

「…真紀だよ」

 彼女の耳元で涼は囁いた。すると真紀は何度もうなずき、彼の肩に顔をうずめる。

「…自信、持てた?」

 今度は涼がうなずく。

「好きだよ…」

 小さい声だったが、充分に彼女の耳に届いたはずだ。それに答えるかのように、真紀の涼を抱きしめる腕の力がいっそう強くなる。

「一緒にいよう」

 真紀のか細い声が俺の中に染み渡る。

「ずっとね…」

 彼らは、お互いを体温を求め合うように、気が済むまで抱きしめ合っていた。



< 198 / 213 >

この作品をシェア

pagetop