とけていく…
「何なの、さっきのアレ…?」

 あからさまに不機嫌な声で、涼は真紀にぶつけた。

「だってー、困ってる人を無視する奴、サイテーじゃん? 涼にはそんな人になってほしくないの」

 さっきの態度が嘘のように、真紀はさらりとそう言った。

(…アナタ以外なら、間違いなく親切にしますが?)

 そう言っても、無駄なような気がしたため、彼は喉まで出かけていた言葉を飲み込んだ。

「…足、どうしたの」

「体育でコケて、打ち所悪くて捻挫」

「どんくせー」

 すると真紀は彼の背中を拳でポコポコと叩いた。

「…球技は苦手なの!」

「いてっ。ちょっ、やめろって。わかった。ごめんなさい」

 崩れかけたバランスを保つ為に、ハンドルを踊らせながら、彼はペダルを漕いでいた。

「…駅まででいい?」

「ありがと〜。助かるわ〜」

 真紀はご機嫌な声で答えた。彼は思った。もしかして、これから毎日、自転車の後ろに乗るために、利用してるんじゃ…

「……」

 そんな風に考えながら、彼はふと空を見上げた。

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