とけていく…
「気を付けてね」
マスターに見送られ、涼は満腹で店を後にした。外は月の明るい夜だった。心地よい春の風が彼の髪を優しく撫でた。ふと、ペダルを漕ぐ足を止め、夜空を眺めてみると、チラチラと光る星が見えた。
涼は、今日までの日を振り返っていた。いつもなら何と無く終わっていた毎日が、由里の命日に真紀に出会ってから一八〇度変化したのだ。何が彼をこんなにも動かすのか。彼は、不意に笑った。真紀が、あんな変なことを提案しなければ、こんなことにはならなかったのだから。
『ねぇ、いいこと思いついた! あたしが由里さんになり代わってあげるよ?』
(あり得ない。あいつ、ホント何考えてるんだか…)
そんな疑問を持ちつつも、今は弾ける喜びに満足していた。仕事始め初日をそんな調子で終わらせてから、彼はドルチェでのピアニストのバイトをなんとかこなしていた。季節も少しずつ移ろいでいく。ゴールデンウィークも過ぎ、もう五月半ばになっていた。初夏の始まりだった。
マスターに見送られ、涼は満腹で店を後にした。外は月の明るい夜だった。心地よい春の風が彼の髪を優しく撫でた。ふと、ペダルを漕ぐ足を止め、夜空を眺めてみると、チラチラと光る星が見えた。
涼は、今日までの日を振り返っていた。いつもなら何と無く終わっていた毎日が、由里の命日に真紀に出会ってから一八〇度変化したのだ。何が彼をこんなにも動かすのか。彼は、不意に笑った。真紀が、あんな変なことを提案しなければ、こんなことにはならなかったのだから。
『ねぇ、いいこと思いついた! あたしが由里さんになり代わってあげるよ?』
(あり得ない。あいつ、ホント何考えてるんだか…)
そんな疑問を持ちつつも、今は弾ける喜びに満足していた。仕事始め初日をそんな調子で終わらせてから、彼はドルチェでのピアニストのバイトをなんとかこなしていた。季節も少しずつ移ろいでいく。ゴールデンウィークも過ぎ、もう五月半ばになっていた。初夏の始まりだった。