秋恋短編集



一宮くんの特別授業が始まって2週間が経つ。

次の定期テストまであと1週間。


このおバカ加減をどうにかするため、家でも毎日必死で勉強してる。


そのお蔭か、最初はさっぱりだった一宮くんの説明が、今は(多分)人並みには理解できるようになった。

わかるようになれば、今まで嫌いだった勉強も楽しく思えるようになった。



「一宮くん、テストが終わったら、一緒にお出かけしない?」


いつも通りの特別授業中、私は一宮くんに提案してみた。

勉強を楽しいと思わせてくれた一宮くんに、何かお礼をしたかったから。


「…うん、そうだね。
苦手な勉強をこんなに頑張ってくれてるんだし、ご褒美あげないとね。
何か考えとくよ」


一瞬きょとんとした一宮くんは、すぐに優しい笑顔でそう答えた。


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