最低で構わないから~好きと言えずに時間は流れる~
新幹線の改札前。
彼の姿はまだない。
鞄から手鏡を取り出し、乱れた髪を手櫛で直し、色付きのリップクリームでグロスの代用。
落ち着かない胸を押さえながら、行き交う人たちの中に目を凝らす。
「――…っ!!?」
「会いたかった」
だが、私が見てた方とは逆の改札から出て来たのか、後ろから抱き締められた。
待ち望んだ、温かな温もり。
おさまってた涙が、再び流れた。