ありがとうのその前に

そのまま何分たっただろう


気付いたら涙が止まっていた


とくんとくん



翔吾の心臓の音がする…



『琴音?』


『ごめん…ね?』


『大丈夫か?』


『う…ん』



あたしのファーストキス


翔吾にあげたかったな…



また涙がこぼれた


するとそっと…瞳に翔吾の唇があたった


『助けてあげられなくて…ごめんな…ごめん…』


『来てくれたもん…嬉しかった…ありがと』



ほんとはまだ怖かった…悔しかった…せつなかった…


でも翔吾に心配かけたくなかった

責任感じて欲しくなかったの


だからあたしは大丈夫だよって笑った



涙をいっぱい溜めて


『怖い思いさせてごめんな』



そう言って翔吾はあたしにそっとキスをした




触れるか触れないかの優しいキス



翔吾の心臓どきどきしてる



なんだ…あたしと一緒なんだ…



どきどきどき




あたしのファーストキス、セカンドキス



力づくで強引



3度目のキス



優しい…優しい心臓の音のするキス



どきどきどき


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