ありがとうのその前に
『…』
『え?なに?聞こえないんだけど…?』
『いやッ楽しそうだなぁって言っただけ♪』
『まじ楽しかったよ!じゃまた放課後な♪』
―『嘘』―
あたしはそう呟いた
その言葉は下駄箱にいた生徒達の声に揉み消されたけど。
あたしの目に涙が溢れてくる
『琴音?』
『結衣…あたし…最低なことしちゃった…』
溢れた涙がどんどん頬を伝っていく
『どうしたの?!』
『翔吾のこと信じてあげられなくて…カマかけたの…そしたら…友達といたって…笑顔で嘘ついた…』
嘘をつかれたことよりも信じられなかったことが悔しかった