ありがとうのその前に


『あ~!これ欲しかったやつだぁ♪』


ヒロの手に握られているのは今人気のヒーロー物の光るベルト

『だろぉ?俺リサーチしたもん♪わざわざ真由美先生に聞いてさぁ~大変だったんだから大事にしてくれよな』


『うん♪ありがとう!』



―真由美先生に聞いて―


って言った?



『真由美先生に聞いたの?』


『そ。わざわざ玩具屋まで付き合わせちゃったぜ~』


翔吾はとても満足そうな顔で笑った


『いつ?』


もしかして…


『ん?1ヶ月前くらいかな?』


『あたしに友達とカラオケって嘘ついた日?』


しまった…という顔の翔吾


やっぱりあの時プレゼント買いに行ってたんだ!



『ごめん!嘘ついたのは悪かった…でも内緒にしたかったんだよ!』



デートじゃなかった…


ヒロのためだったんだ…



はぁ~とため息が出た。安堵のため息。


『ごめんね…』



あたしが謝ると翔吾はキョトンとした顔をしている



疑ってごめんなさい…



でも翔吾からしたら謝ってるのに反対にあたしから謝られて意味不明だろうなと思うと笑いが込み上げてきた


『ぷ…あははッ』


笑ってるあたしを不思議そうに2人が見つめていた



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