好きだったよ、ずっと。【完】
「あ、油いい感じかなぁ?」



ドキドキした気持ちを抑え、菜箸を油の中に入れて温度を確かめる。



「うん、いい感じ。お肉揚げるね」



「あぁ」



春夜をチラリと見れば、わたしを愛おしそうに見つめてて。



幸せだなぁ、と感じながら二枚の肉を油の中へと投入した。



「ちょっ、春夜っ!?」



だけど、後ろからギュッと抱きしめられた春夜の逞しい腕にドキリとした。



「ダメだってば!!危ないでしょ!!」



「ちぇっ」



全く、油使ってるんだからちょっとは考えてよね!



不貞腐れた春夜は放っておいて、わたしは一人カツを揚げることに専念した。



そして盛り付けをし、両手を合わせて二人で作ったトンカツを食べる。



やっぱり、一人で食べるよりも美味しい。



春夜はゴハンをおかわりし、夕食の時間はあっという間に過ぎた。



そしてこの後、甘い甘い時間が訪れる。



…と、思っていた。
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