好きだったよ、ずっと。【完】
「朱里…」



「ん?って、ちょっ…」



隣で春夜の声がしたかと思うと、後ろから抱きしめられて。



「もう俺、我慢できそうにないんだけど…」



「は?」



「これ、早く脱がせたい」



「なっ…!?」



春夜は、パックリ開いてる背中を人差し指でなぞった。



「やっ…」



「あら、春夜くんもムラムラー?もう、帰ったら?」



「じゃぁ、帰ります。行こうか、朱里」



花音さんが、変なこと言うから!



訴えるように4人を見つめるも、聡はお酒を飲んでてこっち見てくれないし。



花音さんは、笑顔で手振ってるし。



なつこさんと裕也さんは、「また来てね」って、それだけだし。



誰も、助けてくれない…。



仕方なく諦めると、春夜に肩を抱かれたままナピュレを出ることになった。



バタンとドアが閉まり、歩き出すのかと思いきや背中に、ドンッと衝撃が走った。



「えっ、春夜…んっ」



壁に押さえつけられ、強引に唇を奪われる。



「なに、間宮にキスされてんの。そんなに間宮のキスがいいわけ?」



「ちがっ…」



反論したくてもすぐに塞がれ、喋ることすら許されず。



「俺の家、来てくれる?」



「……うん」



でも、さっきまでのイジワルな春夜はいなく、優しいいつもの春夜の顔になっていた。
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