好きだったよ、ずっと。【完】
「素直になれば、いいのに」



「だって……」



「俺は嬉しいよ?朱里がヤキモチ妬いてくれんの」



「……、傍にいて…。璃香のとこ、行かないで…」



わたしだけ…、見ててほしいの。



「朱里、可愛い。ずっと、お前の傍にいるから」



「……うん」



春夜が急に立ち止り、繋いでた手が離される。



そしてその手が腰に回り、グイッと抱き寄せられる。



「朱里、こっち向いて」



その声に上を見上げれば、チュッと触れるだけのキスをされた。



そして手を挙げ、タクシーを捕まえ乗り込む。



行き先を告げると、車は走り出しラジオの音だけが響く車内。



「しゅんやぁ…」



「ん、どした。眠いか?」



「うん、ちょっと…」



お酒のせいなのか、安心したせいなのか、急に睡魔が襲ってきた。



「肩貸してやるから、着くまで寝とけ」



「…うん」



春夜の手によって、倒され肩にもたれかかる。



「今日は、寝かせないからな」



「えっ」



慌てて起き上がれば、強引にさっきの態勢にさせられた。



「だから、寝とけ」



「え、えと…。うん」



わたしは曖昧な返事しか、できなかった。
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