好きだったよ、ずっと。【完】
「だからっ!!大学時代からずっと春夜が好きだったの!!」



「う…、そだろ…?」



そんなこと、あるわけない。



だって、朱里はずっと笑顔で俺たちのこと…。



<付き合うことになったんだね、おめでとう!!>



<もちろん将来は結婚するんでしょ?いいなぁ、誰か紹介してよね!!>



<璃香のこと幸せにしてあげてね>



朱里の言った言葉が、一つ一つ甦ってくる。



俺たちが別れる時だって、あいつは必至になって…。



別れて、忘れられない俺を何度も励ましてくれて…。



それなのに、俺は…。



「嘘で、こんなこと言うわけないでしょ。でも…、嘘だったら良かったのにね…」



「え?」



「だって嘘だったら…、冗談だったら、笑えるでしょ」



朱里は、弱々しく笑った。
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