sweet wolf
「は……?
何それ……」
話についていけないあたし。
口をぽかーんとだらしなく開けて直樹を見た。
だが、あたしの質問に答えたのは、直樹ではなくて陸斗だったのだ。
「玄関近くの掲示板は、狼からの伝言だと暗黙の了解がある。
誰かが……恐らく春樹さんが警告を出したんだろうな」
春樹が?
何かの間違いじゃない?
だって……
「春樹、あたしのこと嫌いだよ?」
「そうかな?」
直樹は楽しそうに笑った。
「僕には、兄が杏ちゃんを嫌っているようには見えないけどな」
「直樹、マジで人を見る目ないよな」
あたしはため息をついていた。
あたしを見る春樹の冷たい視線。
あれには、敵意以外何も感じられない。