sweet wolf





「杏……」




あたしの頭の上から、静かな蓮の声が聞こえる。

いつもみたいな冷たくて棘のある声とは全然違う。

優しくて、温かくて。

胸の奥底がじーんとする。





「俺が怖いか?」




その言葉に思わず顔を上げた。

すると、目の前には優しい蓮の顔があって。




「こ……怖いはずない!」



< 202 / 312 >

この作品をシェア

pagetop