sweet wolf
そして、朝のホームルームが終わった時、
「ちょっと、杏ちゃん……」
直樹がようやく口を開いた。
今まで、直樹がウザいと思っていた。
空気が読めなくて、真面目すぎて。
だけど、そんな直樹がいてくれたからこそ、あたしは学校に行くことが出来たと思い知る。
直樹に呼ばれ、少しだけホッとした。
だけど、黙って歩く直樹を見て、泣きそうになった。
直樹は明らかにいつもと様子が違うから。
どんな酷いことを言われるのかと思った。
あたしの身勝手な振舞いに、とうとう直樹も愛想が尽きたのかもしれない。
だけど仕方が無い。
あたしの身から出た錆だ。