sweet wolf
そんな中……
バリーン……
何かが割れる音がした。
耳をつんざくように大きくて。
その後、小さな破片が飛び散る音も聞こえる。
「え?」
思わず声を上げるあたし。
隣の春樹の顔が強張った。
「廊下の窓がやられた」
春樹は舌打ちをし、立ち上がる。
「春樹……行くの?」
思わず聞いたあたしを見て、黙って頷く春樹。
あんなに憎い奴なのに。
消えてしまえばいいとさえ思ったのに。
なのに、行ってはいけないと思った。
春樹が危ない。
これ以上、傷ついてはいけない!!