sweet wolf




「杏奈!忘れ物!!」




大きな声が後ろから聞こえ、ピカピカの黒い車があたしの横で止まる。




「鞄忘れてくとか、初日から大丈夫なの?」




そう言って、彼女は窓から紺のサブバックを差し出す。

茶色のウェーブヘアがさらさらと流れ落ち、香水の甘い香りがした。





あたしはひったくるように鞄を取り、




「お姉ちゃんもケバ過ぎるから、大丈夫なの?」




彼女にそう返した。





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