総長からの「愛してる」Ⅱ



これは、不幸な決別ではない。



お互いがお互いに、新しい未来へと進むために、二人が無言で誓った決別だ。




たった二年半だが、互いに想いあい支え合い………誰よりも濃く紡いだ二人の絆。



濃すぎる絆だからこそ、離れなければ前に進めないだろう。




声に出さずに、二人は互いに願っていた。





『どうか、幸せに』






寄り添い合っていた過去に背を向け、



一人の男の死によって始まった、二人の男女が、



約一年の月日を経て、今、その悲しみから解き放たれた。





未来への一歩。



互いに背中を押して、歩き出した瞬間だった。




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