総長からの「愛してる」Ⅱ



読んでいるうちに、私の目から涙が止まらなかった。



この字は何度も見たことのある。


私の大切だった日々の中で、毎日のように見てきた。


名前が書かれていなくても、その字だけで彼からの手紙だとわかった。




「ありがとう、なんて……こっちのセリフだよ、悠。」




手紙には私の心配ばかりで、自分の身辺のことは一切書かないのが悠らしい。


いつもいつも、私のことを支えてくれていた彼がこの手紙に表れている。




今、一体どうしているのか気になるけど…


聞いたところで何も意味もないし、彼が今どこに住んでいるのかも定かではない。



招待状は確かに送ったけど、彼が本当に招待状に書いた住所に今も住んでいるのだろうか。


招待状は本当に “彼の手に” 届いたのだろうか…




いろいろ考えたって、それが私の知るところ出ないことだけは確かなのだ。




きっと彼は彼らしく生きてる。



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